社会の悪と闘う男

2008-01-24 (木)
- 或る日常の風景

終電も近い電車の中でうつらうつらと船を漕いでいると、若い男(20代後半か?)の怒鳴り声で目が覚めた。

「ふざけんじゃねぇぞ、コラ!」

若い男の怒りの矛先は、向かい側の優先席に座っている大人しそうな男性に向けられていた。
怒りというよりもむしろ狂乱に近かった。

地元の路線にはどうもアレな人の乗車確率が高い気がする。
軽いものから身の危険を感じそうなものまで。
落ち着きなく次々の座る席を変えるのはまだ良い方で、シャンプー片手に髪を振り乱して空気に向かって怒鳴り散らしている女とか、自作の絵を抱えながら乗客に罵声を浴びせる爺さんなど、アレな例は枚挙にいとまがない。

その若い男の怒り方は乗客同士のトラブルの域を越え、むしろそちらを連想させた。
しかしその男の罵声を聞いて驚いた。

「優先席で携帯の電源を切れってんのが、わかんねーのかよ!はい、後ろの案内見て下さい。お願いだから見て下さい。なんて書いてありますかー?"優先席では携帯電話の電源をお切り下さい"って書いてありませんか?書いてありますよねー。携帯使いたければ、優先席から離れればいいんだろ。なんで社会のルールが守れねぇんだよ!言われなきゃわからないのは子供と一緒です。一緒だろうが!」

このような内容のことを延々と怒鳴り散らしている。
言葉は悪く、端から聞いていてムカムカと腹が立ってくるが、内容は正論。でも何かがおかしい。
怒鳴られている中年の男性が何か言おうとすると即座に、

「口答えするんじゃねぇよ!」と一喝され、

さらには、
「ここの皆さんに謝って下さい。私は優先席で携帯電話を使いました。ルールを破りました。すみません。ごめんないって」
などと罵倒。挙げ句の果てには、
「だから日本はダメになるんだよ!どんどん悪くなるんだよ!」
と怒りをぶちまける。

……大義名分、錦の御旗とはこういうことか。

確かに正論。全ておっしゃる通り。しかし何なのだろう、この違和感は。
最初は同じ制服を着て大挙して電車に乗り込み座席を占領。お年寄りが乗ると座席を譲る活動をしている某政治活動兼ボランティア団体の一味かと思ったが、そうではないらしい。

さらに驚いたのは前述の怒り文句を、かなりの早口ながら一度も噛まずに言っていること。まるで何度も練習を重ねているかのように。
そして集中砲火を喰らった男性が肩をすくめて駅で降りると、優先席に誇らしげにふんぞり返ってブツブツと独り言を言うのだ。

次のターゲットは定年退職間近と思われる50~60代の男性。
「……おい、そこのジジイ。優先席なんだから携帯の電源を切れよ」
と凄んだかと思うと、その瞬間一気に噴火。跳ね上がるかのように立ち上がり、また先の繰り返し。

言われたほうも理不尽ながら内容が正論なので何も言い返せない。ただ肩をすくめて相手の怒りが収まるのを待つしかない。

ただ一つ残念なのは、ターゲットがDQN(※1)だったら面白かったのに。もしかしたら二大怪獣大決戦が見られたかもしれないと思うとかえすがえす残念。

(※1)DQN……ドキュン。俗に言う変な人、痛い人たちの蔑称を指すスラング。

彼は孤軍奮闘、一人で社会悪と闘っているのだろうか。
いろいろと考えさせられる出来事でした。

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